まるぶれ

水族館が好きでよくいます。EOS Kiss M使用。Netflixで映画を観ます。

「ケーキの切れない非行少年たち」を読みました。

 

こんばんは。

とりいです。

 

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「ケーキの切れない非行少年たち」は、児童精神科医で医療少年院で法務技官としての経験がある著者が、「非行」に走る少年少女の診断や介入の経験から、その背景に「軽度の知的障害」があることを指摘した新書である。

 

読んでみての感想は、「AI vs 教科書の読めない子どもたち」の続編というような印象を受けた。非行少年たちの深刻な問題である共通点、事例を知り、自分もそうなっていたかもしれないし、またそうなるかもしれないという気持ちにされ、他人ごとではないという思いとなり、読んでいてしんどくなってしまった。

 

www.marubrain.work

 

 

タイトルの「ケーキの切れない」少年は、丸いケーキを3等分してくださいに対して、3つの扇形にわけることができないという事例です。また、若干複雑な図形を写す課題に対して、普通の人が見たらまったく同じ図形には見えないような絵を描くとの事例もある。

 

現在、知的障害者の定義は「おおよそIQが70未満」として、人口の約2%が該当すると見積もられている。しかし、1950年代の定義では「IQ85未満」となっていたため、IQ70~84の「かつての軽度知的障害者」はおおよそ14%存在することになる。

 

また、WISC(児童向けウェクスラー式知能検査)で測られるIQの値が98であったとしても、「下位指標」の値の中で劣った部分があって、「ワーキングメモリ」が悪いとすると実際、就学して種々の学習を行う上では大きな困難が生じることとなる。また、「知能検査」では、「社会で必要とされる柔軟性、対人コミュニケーション能力、臨機応変な対応」を図ることができない。「知的には問題が無い」と解釈されると支援の手は届かない。

 

著者によれば、境界領域方の多くは、小学生2年生で問題が明確になる。

しかし、「IQ70」をクリアすることで、特段の支援を受けることができずに学年を重ね、中学2年生でドロップアウトするケースが多いとのこと。

著者の医療少年院勤務の経験を基に「認知療法」でこだわりをなくすこと、気持ちをコントロールすることは境界領域の少年にはとても困難である。したがって、「コグトレ(認知トレーニング)」を提唱している。